「キャラメル シナモン ポップコーン 」は吉住渉先生の最新作。「ママレード・ボーイLittle」の連載後、満を持しての新連載投入とあって、とても楽しみでしたので、簡易感想でご紹介します。 吉住渉と言えば、言わずとしれた少女漫画の大家。近年は「ココハナ(Cocohana)」で連載しており、さすがの手堅い作風です。これから読む人のためにネタバレ無しで軽く紹介します。
あらすじ
この出会いはきっと忘れられない恋になる―― 映画好きが高じて念願の宣伝プロデューサーになった宝生栞菜(ほうしょうかんな)。仕事漬けながらも充実した日々を送る栞菜に運命の出会いが! ラフなスタイルに笑顔が印象的な瀬那元晴(せなもとはる)と偶然知り合い、危ないところを助けてもらった栞菜は無意識に彼の姿を探している自分に気づく。そして三度目に会ったとき、彼はまるで別人のような姿で!?
作風はタイトル通り、王道で甘い直球勝負!
「キャラメル シナモン ポップコーン 」、なんと甘い香りのする題名でしょうか(笑)単に主人公が映画業界で働いている点を織り込んだだけではなく、甘々なラブストーリーを書いてやるんだ!という吉住先生の強い意志を感じます。この路線に私自身は大賛成です。
個人的には、「りぼん」を離れてからの吉住先生は、少女マンガ誌から女性マンガ誌へのモードチェンジに悩んでいる面が作品に少し出ていたようにも思います。大人向けだから、シビアな展開や世知辛い展開をとりあえず入れるという動きがいくつか散見されました。たしかにそうした展開は次が気になるのですが、無理にそういう方向に持っていかなくてもという印象もありました。「ちとせetc.」や「ママレード・ボーイLittle」以外に3巻以上の作品はなく、1・2巻でさすがの手腕で話をまとめるのですが、読後感としては物足りなさが残ります。
「キャラメル シナモン ポップコーン 」の主人公・宝生栞菜はある意味で大人の恋愛からかけ離れた恋の落ち方、思考、アプローチで初々しさを感じさせます。なんだか水沢めぐみ先生の作品のヒロインのようで、応援したくなります。しかも、作品の軽快なテンポにもつながっています。
それに対して、瀬那元晴はたくましい人物でありながら謎も秘め、いかにも素敵な男性で、対照的です。甘々なストーリーをテンポよく進めていくにあたり、魅力的な人物へのアタックの展開は軸になりますが、うまく機能しているように見えます。
旧「ヤングユー」が合流し、「コーラス」からリニューアルした「Cocohana」ですが、部数は4.5万部(21年1-3月)。ビッグネームの大型連載が盛り上がるかどうか雑誌の帰趨を握っていると言えるでしょう。今のところ、第1巻を読んでみて好発進という印象を受けたので、明日発売の第2巻が楽しみです。「キャラメル シナモン ポップコーン 」はこちらでこちらで試し読みできます。ポップコーン片手に、この機会にぜひお試しくださいませ。