「アオのハコ」(三浦糀):ジャンプ連載の”少女漫画”が今面白い!7つの理由

恋と青春。漫画でも楽しみたい普遍的なテーマですよね。「りぼん」愛読21年目の私から見ても「アオのハコ」は立派な少女漫画ですが純粋に面白く、「ジャンプ」で連載する意義は大きいと感じました。ラブコメとスポーツの両立てだから、一粒で二度美味しく、読むだけで爽やかな気持ちになります。ネタバレは以下のあらすじ程度の最小限にとどめたうえで、面白い理由を7つ述べていきますね。

【あらすじ】
中高一貫スポーツ強豪校、栄明学園。男子バドミントン部・猪股大喜は、朝練の体育館で毎朝二人になる、一つ上の女バスの先輩・鹿野千夏に恋をする。そんなある日、進級を迎える春に二人の距離が一変しーー青さが胸を衝く、青春部活ラブストーリー、開幕!!

目次

絵を眺めるだけで価値があるから


「アオのハコ」の特筆すべき点は、まずは繊細な絵柄です。三浦糀先生は武蔵野美術大学ご出身とのことで、静物画のデッサン力は群を抜いており、ついつい見惚れてしまうほどです。細やかな描線は作品と人物の清楚な雰囲気を表現していますし、くるくると動く人物の表情も見事。週刊連載でありながらクオリティをキープしているのも立派の一言です。読みやすく、しかもいつまでも見ていたい”絵”が、清楚できれいな作品の雰囲気を醸し出しています。

ラブコメ作品として少年マンガ誌で異例の挑戦をしているから

あえて直接的なエロスには頼らない


一番強調したいポイントですが、「アオのハコ」は少年マンガ誌のラブコメ作品として異例の挑戦をしています。つまり、直接的なエロスの追求に頼らないのです。ラッキースケベをはじめ、ラブコメのお約束の描写というのは連綿と存在しています。たとえば、「いちご100%」や「To LOVEる -とらぶる」は露骨でしょう。「ニセコイ」や「ぼくたちは勉強ができない」はデフォルメ調の可愛らしい絵柄でいやらしさを緩和していましたが、良くも悪くもラブコメのお約束的な展開は活用していました。

女性にもおすすめしやすい作品です


「アオのハコ」は女性に安心しておすすめできます。マガジン連載の前作「先生、好きです」ではかなり少年マンガ誌のラブコメ的なノリに寄せていましたが、「アオのハコ」では露骨にエロい表現は意図的に避けられており、幅広く女性も読みやすいように見受けられます。お色気に頼らない正々堂々とした、”少女漫画”です。作品性それ自体で、男性が読んでも十分面白く仕上がっています。

打ち切りになりそうになったら、もしかして…(それは雑念!腹筋30回!)

エロスの追求はラブコメの醍醐味でもありますし、作品の武器でもあります。「アオのハコ」もアンケートが振るわず、打ち切りの危機に貧すれば、千夏先輩のエロいシーンを増やす方向に動くかもわかりません(おっと、雑念は30回腹筋だ!)。しかし、エロい描写を普段はあえて抑えいるからこそ、ここぞというシーンで投下すれば、破壊力が増す可能性があります。とはいえ、ラブストーリー、少女漫画として勝負する、その姿勢は潔し!少年マンガ誌の本丸である「ジャンプ」で前代未聞の挑戦を見守りましょう。

「友情・努力・勝利」の勘所を押さえジャンプの作品として成立しているから

ジャンプの作品として成立している点も長所です。すなわち、「友情・努力・勝利」の3要素をしっかり押さえているからです。

友情では、主人公の葛藤を受け止め、助言してくれる友人や先輩たちがいます。努力に関しては、最も作品内で強調されており、筋トレや練習に明け暮れています。勝利は、バトルではないので、主人公にとっての報いられる感覚になるでしょうか。好きな人が褒めてくれたり、ふとした何気ない言葉が嬉しかったり、ときには笑顔が何者にも代えがたい喜びになります。

好きな人との同居生活はハラハラドキドキのストーリーになるから

好きな人と一緒に暮らせたらどうなるかな…って、皆さん想像しますよね。同居を作品のとっかかりにしている作品では、同棲や結婚を飛び越えて一緒に生活するわけなので、同居出来たがゆえの困難やハプニングが物語の構造上たくさん発生します。つまり、作品にハラハラ・ドキドキする展開が必然的に組み込まれます。

「ラブひな」や「さくら荘のペットな彼女」、「きのう何食べた?」など、同居ものは結構色んな作品がありますね。同じく集英社の「りぼん」で同居ものといえば、吉住渉先生の「ママレード・ボーイ」、高須賀由枝先生の「グッドモーニング・コール」、春田なな先生の「キスで起こして(連載中)」が思い浮かびます。両親同士の交換結婚、不動産屋の手違い、両親の再婚と、きっかけや事情は三者三様です。

「アオのハコ」でも、同居しているがゆえの葛藤、家と学校での二重の関係性などが作品のキーになっており、今後の展開でもハラハラドキドキな展開が待ち受けていることでしょう。

主人公の恋もスポーツも応援したくなるから

主人公の猪股大喜は、恋路もバドミントンも応援したくなる好漢です。作者が女性の方なせいか、生生しさにはやや欠ける人物造形ですが、憧れの先輩にふさわしい男になろうといういじらしさ、ひたむきさが目を引きます。恋は人を変える前向きな力です。今の自分自身あるいは若き日の自分を重ね合わせて読む方も多いんじゃないでしょうか。

「アオのハコ」は、主人公のイノセントな部分が目立ちますが、「鬼滅の刃」や「呪術廻戦」でも、主人公の魅力の一つは純真さにあったように思えます。憧れの先輩に少しでも近づこうと努力をする、実力が離れたバドミントン部の先輩に食らいついていく、真っ直ぐでひたむきな姿は胸を打ちます。フィクションの人物の前向きな気持ちや行動は、現実を生きる私たちを元気づけてくれますね。

年上のヒロインが魅力的だから

鹿野千夏が、1学年上の年上ヒロインというのも珍しいですが、重要なポイントです。大人になるとそうでもないですが、学生時代の一学年差はとても大きく感じますよね。作劇上も学年が違うと絡ませにくかったりなどの難点があるので、ボーイ・ミーツ・ガール形式の作品ではやはり同級生同士がスタンダードでしょう。

したがって、あえてヒロインを年上にしたのは良い変化球です。つまり、ヒロインを年上にするのは、差別化になります。他の作品では、「武装錬金」の津村斗貴子、「ソードアート・オンライン」の結城明日奈、「ベン・トー」の槍水仙といった年上のヒロインたちもいいですね。

ヒロインが年上というのは、リアルの恋愛でも、フィクションのなかでもハードルを上げる効果があります。私も初恋は2学年上の先輩でしたから、主人公の気持ちは痛いほどわかります。楽しいけど楽ではない相手でしたから、最終的には結婚相手は気楽な同級生にしましたが、チャレンジした日々は価値あるものでした。そういうわけで、ヒロインを年上にすることで、バトル漫画的なチャレンジする要素を作品に盛り込めるのです。

ヒロインの千夏先輩はバスケットボールのスター選手でストイックな面もありながら、心優しい女の子の素顔も魅力的です。さっぱりとした性格と外見ですが、気配りや思いやりも忘れない好人物。互いのことを考えるあまりに、大喜と千夏はすれ違うこともあり、いかにも少女漫画的なストーリー展開でむず痒くもなります。けど、やきもきしながらも二人の仲を応援したくなりますね。少女漫画の醍醐味です。

簡潔で短いタイトルが作品を象徴しているから

簡潔で短いタイトルが作品を象徴しているのは、一見当たり前のようでいて重要な点です。というのも、ちまたのアニメやラノベ、漫画には恐ろしく長いタイトルの作品が多すぎるからです。簡潔でズバリと作品の内容を象徴するのが本来は理想です。「アオのハコ」はシンプルながら多義的な解釈ができる良い名付けです。


アオは、青春を象徴しており、作品のイメージカラーが青であるのを明示しています。千夏先輩の人物像や夏の青空を示しているとも言えるかもしれません。ハコはおそらく同居生活の舞台になる家、あるいは学校や部活など学生にとっての枠組みを示唆しているように見えます。もちろん、話が進むにつれて、別の意味が出てくる可能性もありますが、「魍魎の匣」のうような展開にならないことを祈ります(笑)

まとめ

以上で 「アオのハコ」 が面白い7つの理由を述べてきました。最後に要点をまとめましょう。

「アオのハコ」はまず、三浦先生の画力により、清楚できれいな絵を眺めるだけでも価値があります。しかも、ラブコメ作品として少年マンガ誌で異例の挑戦をしているにもかかわらず、「友情・努力・勝利」の勘所を押さえ、「ジャンプ」の作品として成立している点が素晴らしい。好きな人との同居生活でハラハラドキドキのなか、主人公の恋もスポーツも応援したくなりますし、そのうえ年上のヒロインも魅力的です。以上の要素は、簡潔で短いタイトル「アオのハコ」が象徴しています。

「アオのハコ」はこちらで試し読みできます。男女問わず幅広い方の胸に響く作品ですし、まだ1巻が発売されたばかりですす。読むと爽やかな気分になりますし、元気が湧いてくるので、ぜひ手にとってくださいね!

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